月別アーカイブ: 2019年7月

7月のおはなし会1🎋

鹿児島、九州南部にお住まいのかた、不安な日々を過ごしておられることと思います。お見舞い申し上げます。

京都府南部では、梅雨入りは遅かったのですが、めずらしく梅雨らしい梅雨です。
恵みの雨で終わればいいのですが。

7月のおはなし会の報告です。

7月1日(月)
4年生 授業 一クラスずつ2回
おはなし「石になった狩人」同名絵本
おはなし「世界でいちばんやかましい音」
ブックトーク「環境」
先週金曜日に二クラスやって、その残りのクラスです。
ブックトークは、「石になった狩人」で語られている自然の脅威と、「世界でいちばんやかましい音」でギャオギャオ王子が自然の音を気に入ったことに、注意を向けてもらってから、スタートしました。
ブックトークの準備をしていて驚いたのは、市立図書館に行かなくても、学校の図書室にある本だけで十分にプログラムが組めたことです。
しらべ学習用の図書が充実していたのですね。
おかげで、子どもたちに、図書室へ行こうねって自信を持って言えましたよ。
「みんなの図書室は、宝の蔵やでえ!」って。
あ、そうそう、ここの学校のことではないのですが、もう一校おはなしをしに行っている学校では、図書室の貸し出し冊数が多くて、図書室に行けばみな夢中で本を読んでいるそうです。読みたい本はリスエストもするそうです。
本来当たり前の光景なんだけど、活字離れの時代に、心強いです。
おっと、おはなし会の様子は、先週とよう似たもんです。はい、元気いっぱい~

7月2日(火)
中学1年生 朝15分
おはなし「まほうつかいの弟子」『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』村上再話/語りの森
ミニブックトーク『クラバート』
5カ月前には、あんなに偉そうにしていたこの子たちが、まあ中学生になったら神妙な顔つきで、ちゃんと一年生をやってるのがおかしくて(笑)

7月5日(金)
5年生 朝20分
おはなし「小石投げの名人タオ・カム」『子どもに語るアジアの昔話2』こぐま社
ミニブックトーク『春はあけぼの』斎藤孝編
5年生に15分以内で終わるおはなしを見つけるのが大変です。
ここの子たちは、耳が肥えているので、高学年になるともっとしっかりした話が聞けるんだけどね。
朝いちでも、すごく集中して聞きます。
ただ、やっぱり朝いちやからね、もうひとつ踏み込んでこないというか、受け身なのね。
タオ・カムの技に、個々に感心しても、みんなでほお~っとはならないし、土の粒が大臣の口に命中しても、個々にニヤニヤ笑うだけで、いつものどっと笑いが起きない。
思わず、「起きてるかあ~!」って肩をゆすぶりたくなった(笑)
聞き手も語り手も先生もなんとなく不完全燃焼で終わりました。

絵本の読み聞かせ入門講座📙

今週、最後の絵本の講座がありました。
1回目~3回目がヤンさんの読み聞かせとお勉強。
4回目が実習。
最後の5回目も実習です。
4回目と5回目ですべての受講生が前に出て自分が選んできた絵本を読みました。
ひとりで2冊読めた人は一人だけだったので、受講生の人数と選んできた絵本の長さがちょうどよかったというのも驚きました。
みなさんが選んでこられた絵本も、例年に比べて有名作家の定番が多かったように思います。
定番や古典絵本は、やっぱりいいなあと思いました。
人に読んでもらって一定の距離から見ることで、作家さんが隅々まで見てほしいという意図をもって、装丁から何から何まで考えて決めているんだと分かりました。

今年は、はじめに簡単な自己紹介をしたので、幼い我が子に読むために受講されている人、ボランティアにかかわっているか、あるいはこれからやろうとしているとか、絵本製作にかかわっているとかの背景が分かっていました。
それもあわせて、聞かせていただいたこともよかったと思います。
どの絵本もよかったんですが、わたしはユリ・シュルヴィッツの『よあけ』を読まれたかたに感動しました。
『よあけ』は、いままでの絵本の講座でもヤンさんに何度も読んでもらっているとっても好きな絵本です。
絵も言葉も、とても素敵で何度読んでもらってもその都度心が洗われる気になります。
今回読んでくださったかたは、自己紹介の時から思っていましたが、とても静かな口調のかたで、お上品というか、「一生に一度でも、声を荒げるようなことがおありになるんだろうか…」と思わせるようなかたではありました。
そのかたが『よあけ』を読み始めると、まるで初めての世界に触れたような気持ちと、読み手の人柄や人生を感じるような雰囲気にあっとうされ、気持ちの動きが大きくなって泣きそうになりました。
読み手が「泣かせてやろう」とか、何にもないんですよ。
ただ、一生懸命に読んでおられるだけなんですよ。
でも、聞き手には絵本の持つメッセージが伝わり、読み手の背景まで感じられる。
あるいは、わたし自身が欲している心のどこかの部分と、この読み手さんの個性が、勝手にマッチしたのかもしれません。
なにはともあれ、わたしにとってはこんなにラッキーでうれしいことはありませんでした。
録音して、いつも持ち歩いていたいくらいです。

絵本の講座は、ヤンさんの読み聞かせ、お勉強、受講生の質問に答えるコーナー、実習と毎年もりだくさんです。
そして、毎年受講しているわたしですが、毎年発見とよろこびがあります。
また来年、どうぞありますように。

第10回 昔話の語法勉強会

6月25日に語法勉強会がありましたので、レポートさせて頂きます。
早いものでもう10回目の語法勉強会でした。
今回は日本の昔話「馬方やまんば」で勉強します。
出典『日本の昔話5』福音館書店

馬方やまんば」は幅広い年齢の子どもたちに語れるおはなしです。
低学年なら前半を鬼ごっこのようにスリルを味わって、後半はかくれんぼのように息を殺して・・・
高学年には馬方の仕事や馬への愛情・大切さなどを理解してもらって語ると、家族のように大事な馬を食われた馬方の無念ややまんばへの憎しみなども感じて聞いてくれるでしょう。
また、三本足になった馬がガッタガッタガッタ走ると子どもたち、笑うんですって( *´艸`)
おはなしの定番とも言える「馬方やまんば」。
語法的にキチンと理解して、おはなしを深め、そして子どもに届けたい!

講座のはじめにヤンさんが「馬方やまんば」を語って下さいました。
その後、テキストを見ながら語法の指摘・解説です。
まず語りはじめの
「むかし、あるところに、ひとりの馬方がいました」→ 時代・場所・人物を不特定に語る ➡ 昔話の固定性
「ひとりの馬方」→ ひとり ➡ 孤立性 ➡ 本来持っている環境を捨てているので奥行きを持たない ➡ 平面性の一つの性格ともいえる
「松の木のかげから」→ 一本のイメージ ➡ 孤立性
「やまんばがぬうっとでてきて、」→ やまんば → 一人 ➡ 孤立性
「やまんばが ~略~ と、しわがれ声でいいました。」→ やまんばは彼岸(異界)の存在なのに馬方は驚かないし、言葉も通じている ➡ 一次元性
馬方とやまんばは一対一で描かれている ➡ 昔話の場面はいつも一対一で描かれる

冒頭の部分だけでもこ~んなにありますね~(;’∀’)
ここで全部はレポートしきれないので、残りは抜粋してお届けします(^.^)/~~~

なんと言っても「馬方やまんば」のストーリーで最も面白い場面
[切り紙細工のように語っている]ところを説明したいと思います。
「やまんばに追われ、馬の足をぶったぎってうしろに投げ、三本足の馬でガッタガッタガッタと逃げる」
この場面、足を切っても血は出ません。馬は三本足で走ります。リアルさは全くありません。残虐さもありません。
→ つまり実態を語っていないのです。昔話の特徴、【中身を抜いて語る】です。
これは ➡ 平面性 ですね。
切り紙細工のように、中身を抜いて語っているから、怖くなくて、面白いんですね~
だから、子どもたちは笑うんですね~

たまに昔話を理解していない大人が、「昔話は残酷だ」なんて言いますが、聞き手の子どもたちはちゃんと理解しています。
語り手の私たちはキチンと理解して、ちゃんと語法に則ったテキストを選ばないと、血みどろのホラーになってしまいます・・・
でないと「残酷な昔話」を子どもに届けてしまうという、本当に恐ろしいおはなし会になってしまいます。
やっぱりおはなしおばさんは語法のお勉強をしないとね(^_-)-☆

まだまだレポートしたい部分はたくさんあるのですが、すでに非常に長くなってしまいました。
「長くて読むのめんどくさいねん」と思われちゃってもいけないので、(え?もう、思ってる?( ;∀;))
この辺りでおいとまさせて頂きます。。。

語法の勉強をするといいテキストを選ぶ眼力が付いてきます。
テキストを整えることもできるようになってきます。
そして何より、聞き手の子どもが喜ぶ場所がピンポイントで分かるようになってきます。
これって語り手にとって最&高(*^▽^*)最高ですよねぇ!!
でもお勉強中の方も、遠方で講座に来れない方も、ご安心ください!
ヤンさんが再話して下さったテキストなら!!
まぁ、 簡単!覚えるだけです!(*^-^*)
さぁ!<森の市場> へLet’s go‼
ただいま『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』絶賛発売中です。
ここだけの話、『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』は残り少なくなってるそうですよ・・・
無くなっちゃう前にぜひどうぞ( ^ω^)

かぶでした(*^▽^*)