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12月度 初級クラス

今月は入門講座を終わられた方も見学に来てくれた中での初級クラスでした。

まずは、手遊び「メリークリスマス」をヤンさんが教えてくれたのですが、上手くできない大人続出・・・親指を上にあげて、人差し指あげてを左右で繰り返す単純なことなのに、途中で「あれれ・・・?!」子どものほうができるかもしれませんね(笑)

さて、今月もバラエティ豊かな発表でした。

(語り)

①がまんの石と刀  『子どもに語るトルコの昔話』/こぐま社

初めて20分超えのおはなしにチャレンジされました。気になる言葉もあり、練習しているうちに納得のいかない言葉は自分で変えられたそうです。また、語るときに問題のない接続語も省かれました。どこまで手を入れていいのか不安だったそうですが、ヤンさんがチェックしてくれ、ほぼ問題ありませんでした。

長いおはなしは子どもの集中力が続かないので、ストーリーが理解できるなら、無駄な言葉は省いて、ストレートな文にしたほうがいいそうです。

このおはなしは、子どものいない夫婦のもとに、神の使いである老人が現れ、子どもが欲しいという願いをかなえてくれます。しかし、せっかく授かった娘は7年の間、眠っている若者の見張り番をしなければならない、と言われます。7年が過ぎ、若者は目を覚ましますが、このおはなしはそれだけでは終わりません。

後半になって、深い悩み事を打ち明けるたびに膨れ上がり、しまいに粉々に砕けてしまう「がまんの石」ができています。娘がお風呂に入っている間に旅芸人の娘が衣装をうばい、娘になりすますのです。若者に娘は「がまんの石と刀」を買ってきてほしいと依頼します。そして、今までの出来事を「がまんの石」に打ち明け、刀でつきさして死んでしまうところを若者が助けます。その瞬間、魔法がとけ、若者は王子にもどり、結婚するという幸せな結末で終わります。魔法にかけられて眠り続ける王子を待つおはなしで「いばら姫」を思い起こさせますね。

②馬方やまんば  『日本の昔話5』/福音館書店

タイトルを言った時点で「馬方」の説明をしましょう。馬方にとって馬が生活の一部であり、いかに大切であるかを理解させると、最後の「だいじな馬まで食われたかたきうちだ」の意味を深く理解できます。

前半の馬の足をぶったぎり、やまんばから逃げる場面は低学年の子どもでも楽しめますが、後半の火の神さんやかたきうちは高学年にしか理解できないそうです。

語り方のアドバイスとして、やまんばの繰り返しのセリフ「おかざあ、おまえをとってくうぞ」の「おかざあ」が分かりにくいと指摘を受けました。「うまかたやまんば」(おざわとしを再話/福音館書店)の絵本では、「おかなきゃ」と書き換えており、語るときに変えてもいいそうです。

③桃太郎  『子どもに語る日本の昔話3』/こぐま社

このおはなしを知らない子どもはいないのではないでしょうか。しかし、桃太郎には松居直さん(福音館書店)の絵本に代表されるような優等生バージョンと、このおはなしのように、毎日ごろごろして寝ているばかりの劣等生があります。子どもたちは優等生バージョンを知っていることが多いと思いますので、違いを楽しめる小学3、4年までのおまけとして語れるそうです。

細かな点としては、となりにいる若い男が桃太郎を山に誘う場面「今日は、山へいきましょうやあ」では「今日は」を立てて語るようにしましょう。

④だんごころころ  『語りの森昔話集1』/語りの森

句読点で切れないことを意識されて語られました。

お地蔵さまとおじいさんのやりとりは、誰が言っている言葉なのかをしっかりイメージして、助詞「が」と「は」も間違えないよう確実に覚えましょう。

⑤お経を忘れた和尚さん  『語りの森HP』語りの森

和尚さんと小僧さんの笑い話です。お葬式に行く途中、和尚さんはかえるを踏んづけたと思いました。後ろを歩いている小僧さんはかえるではなく、なすびだったことに気づきます。お経を読むときになって、和尚さんは忘れてしまったので、かわりに「かえるを踏んだら、キュウと鳴いた」、小僧さんはそれに続けて「よく見ればなすだった」と読み上げます。

短い笑い話は難しいですが、Nさんは上手に語られ、爆笑した人が数名いました。ぜひ、子どもに語って下さいね!なお、このおはなしは「語りの森昔話集4」に掲載予定だそうです。

⑥いうことをきかないうなぎ  『おはなしのろうそく7』/東京子ども図書館

イタリアの昔話ですが、チョギアという町は実際に存在するそうです。ベニスが水の町であることや運河、ゴンドラなどの言葉も理解する必要があり、高学年のおまけのおはなしです。

⑦ミアッカどん  『イギリスとアイルランドの昔話』/福音館書店

他人に助けられたのではなく、自分で自分の危機を乗り越えたトミー。すでに小学1年生に語られたそうですが、終わってから「トミーは賢いな~」と言った子がいたそうです。

≪ヤンさんの語り≫

こびとのおくりもの  『語りの森昔話集1』/語りの森

次回の初級クラスは2月4日(通常の第2ではなく、第1火曜)になります。1月はありませんので、間違えないようお気をつけください。

クリスマスまであと1週間、早くクリスマスプレゼントの準備をしなければと焦っているジェニィでした。では、少し早しですが、皆様よいお年を!

11月度 初級クラス

先週火曜にありました、初級クラスの報告です。いつもすぐに7話のエントリーが埋まってしまうのですが、今回は珍しく少なかったので、ジミーさんも語ってくださいました!

(手遊び)

弁慶が五条の大橋渡るとき うんとこどっこいしょ うんとこどっこいしょ うんとこどっこいしょと 言て渡る♬

学校のおはなし会は子ども達とも顔なじみになっているのでいいのですが、図書館のおはなし会で初めて会う子どもがいる場合は、手遊びをして触れ合ってからのほうが語りやすいと感じます。

(語り)

①妖精の丘が燃えている   『子どもに語るアイルランドの昔話』/こぐま社

このおはなしを選んだ理由は、アイルランドに旅行をした友達から写真を見せてもらったからだそうです。アイルランドはイギリスの左側にある島ですね、北海道ぐらいの大きさですが、日本人にはあまり馴染みがありませんよね。でも、写真を見てイメージができたのか、情景が見えた素敵な語りでした。

また、このおはなしは死んだおっかさんの知恵もかりて、妖精たちを追い出すことに成功します。いくつになってもお母さんの有難みを感じることがあり、このおはなしに決めたそうです。

最後の段落に「こんなおそろしい目にあってから、ブラスケットのおかみさんは、昼であろうと、夜であるうと、・・・」とあるのですが、ブラスケットという言葉が抜けてしまいました。しかし、最初に1度できてきただけであり、子ども達も何のこと?と疑問に思われても困るので、省いていいそうです。

②くもと夢  『語りの森HP』/語りの森

ジェニィが語りました。「夢の蜂」の類話ですが、人の魂が寝ている間に昆虫になって抜け出すのではなく、このおはなしは外(泉水)からくもができてきて、男の鼻のあなに入っていき、宝のありかを教えます。また、最後は宝を均等に分け合い、2人とも幸せになる点が気に入りました。

1年生から6年生がいる場でのおはなし会で語る予定にしているので、難しい言葉は説明する必要があります。

①荒れた長者屋敷あと → 人が住まなくなった、お金持ちの家

②泉水 → 池   ③千両箱 → 小判(お金)のたくさん入った箱

子ども達に辞書に書かれた言葉の意味を言うのではなく、おはなしがイメージできるよう、子どもに分かる言葉で説明することが大切だそうです。

語りの森HPには標準語のテキストが掲載されていますが、『子どもと家庭のための奈良の民話1』にはヤンさんの日常語で書かれています。

③捨て子と鬼  『日本の昔話4」』/福音館書店

内容を理解してもらおうとゆっくり語るのではなく、ストーリーに重きをおいて語ることを意識されたそうです。

ゆっくり丁寧に語れば子ども達に分かってもらえるか?「そうではなく、むしろ間をあけずに語るほうがよい」とヤンさんより。この初級クラスでは何度も指摘されていますが、句読点できると、聞き手は分かりづらいのです。

細かな点では、

(P49)「それみろ。ぐずぐずしているから、鬼がかえってきちまったじゃないか。さあ、はやくこの中にはいれ」といって、三人を押し入れの中にかくしてくれました。すぐに鬼が裏口からはいってきて、鼻をフスフスさせ・・・

押し入れの中にかくしてくれました。の後に間を取り、子ども達にこれからどうなるか?を考えさせる間を取るといいそうです。

同じように、(P50)道ばたにすわってやすんでいるうちに、ついぐうぐうねむりこんでしまいました。の後にも間を取るといいでしょう。

④酋長カイレ  『語りの森昔話集2』/語りの森

中学生の、特に男の子にがよく聞くそうです。語るときに技巧は必要なく、普通に語るだけでストーリーを楽しめるおはなしです。

先月のブログにも書かせてもらいましたが、Uさんは練習しすぎる傾向にあるそうで、今回の練習期間は約2週間、言葉を頭に入れた状態での発表でした。それが理由なのか、句読点で切れてしましました。例えば最初の一文「若い酋長のカイレは、川のほとりの小さな村に、妻とふたりで住んでいました」とありますが、間をあけずに一気に語りましょう。語ってから、少し間をとり、聞き手に状況を飲み込ませるといいそうです。

⑤三枚のお札  『語りの森昔話集2』/語りの森

ジミーさんの日常語の語りでした。小僧さんが鬼ばばに追いかけられながらお寺に帰りつき、和尚さんが言った言葉 「こまったことだ。どこにかくそう。しょうがない、井戸の天井にかくれていろ」をどのように語ればいいか悩まれたそうです。和尚さんは鬼ばばが出ることは分かっていたから、落ち着いて語ればいいのか、それとも和尚さんも小僧さんと同じ気持ちで、急がなければ鬼ばばがやってきてしまう、と焦っているのか?

重要なことは、子ども達は和尚さんではなく、小僧さんになって聞いている、「急がないと鬼ばばにつかまってしまう」という気持ちということです。ですので、ゆったり語ると聞き手は「早くして~」という気持ちになるのでいいのでしょう、とのアドバイスでした。

≪ヤンさんの語り≫ 

ちいちゃいちいちゃい  『イギリスとアイルランドの昔話』/福音館書店

聞き手によって語り方が変わってくるおはなしだと思います。おはなしの内容は知っていますが、最後はどんな風にくるのか?とドキドキしながら聞いていました。分かっているのに、面白くて怖かったです!

この後、ノート式~の「おはなしの覚え方」を勉強しました。詳しくはジミーさんの16日のブログ「入門講座3回目」をご参考ください。(手を抜いてスミマセン・・・(*_*; 苦笑)重要なことは最初のイメージを創るときから、大きな声で読む、覚えるときもしっかり声に出すことです。

以前、ヤンさんがどうしても覚えられないといっている人がおり、どのように覚えているかを聞いたところ、声に出していなかったそうです。

2019年度の勉強会もあと1回です。(1年が早い~!)

10月度 初級クラス

日に日に気温が下がり、日中と朝晩の寒暖差が大きくなってきましたね(>_<)先日三男が体調を崩し休日診療所に行ってきたのですが、息子の前の患者さんはインフルエンザでした・・・今年の流行は早そうですね。予防注射を受けにいかねば、と思っている今日この頃です。

さて、10月度初級クラスの報告です。今回もまずは手遊び「どんぐりころちゃん♬」をしてからの発表でした。

①古屋のもる  『子どもに語る日本の昔話1』/こぐま社

初級クラスでの初・語りでした!こぐま社の方言の強いテキストですが、Oさんは長崎出身で、このおはなしの熊本の方言に近いそうです。聞いていて違和感なく、自分の言葉として語っているように感じました。高学年のおまけにいいそうです。

②森の王  『語りの森3 しんぺいとうざ』/語りの森

発表まで時間があったそうで、「練習しすぎて疲れた」とのコメントがありました。私は毎回ギリギリですので、こんな風に言ってみたいと思いました。きっちり覚えられていると心に余裕があったかでしょうか、落ち着いた素敵な語りでした。

3人兄弟の末っ子が成功するおはなしです。魔法をかけられ、高い塔に閉じ込められていたぎょろめ目のおじいちゃん(森の王)をジャックが助けます。ジャックは森の王にかけられていた魔法を解き、自由の身にしてくれたお礼に願い事の叶う指輪をもらいます。森の近くにお城があり、王様はお城のそばの深い洞穴から黄金の袋を取ってきたものを、末の娘と結婚させるというおふれを出します。3人の息子が挑戦し、ジャックだけが指輪の力で成功します。しかし、ジャックは自分が成功した若者だとは言わず、家に帰ってしまいます。王さまは家来に若者を探させ、ジャックを見つけ出し、お姫様と結婚するというおはなしです。

それから、以前初級クラスで発表してくれた「ホットケーキ」を子ども達の前で語った報告もしてくれました。オジサンポジサンやメンドリペンドリなどの言葉遊びは楽しんでくれたそうですが、最後のホットケーキがブタに食べられてしまった場面、一部の子どもは残念そうだったと感じたそうです。

この点について、ブタが出てきて鼻の上にホットケーキをのせたところからの語り方に注意するといいそうです。今までとは違うぞ、と聞き手に意識させる語り方が必要で、そうすると、最後は笑って、子ども達も結末に満足するそうです。

③三びきの子ぶた  『イギリスとアイルランドの昔話』/福音館書店

以前から語りたいと思っていたそうですが、難しいイメージがあり避けていたそうです。その気持ち、よく分かります!「三びきの子ぶた」は小さい子ども達に一番語られているおはなしの一つではないでしょうか?何度聞いても楽しいですし、私も覚えたいと思いますが・・・未だ挑戦できていません。

練習中は子どもがいないので、間の取り方が分からなかったそうです。言葉を十分に覚えれば、本番では子どもに任せておはなしを進めればいいそうです。    タイトルを言った時点で子ども達は「知ってるー!」と言ってくるでしょう。しかし、絵本やアニメで知っていることが多く、後半の3番目の子ぶたとおおかみとのやり取りを知らないことが多いので、気にせず語ればいいそうです。

前半の1回目(1人目)=失敗(おおかみに食べられる)、2回目=失敗、3回目=成功、後半は3回ともおおかみをだますことに成功しますね。上手くだましてやったぞ!と子ども達に感じてもらえることを意識して語りましょう。そうすると、最後におおかみを食べてしまった場面では「やったー!」と大いに喜ぶそうです。

①「めぶた →お母さんブタ」②「はりえにしだ →はりえにしだと言う木の枝」③「3時 →お昼の3時」と言い換えたほうがいいでしょう。③は子ども達が朝の3時と勘違いすることがあるからです。

④屋根がチーズでできた家  『子どもに語る北欧の昔話』/こぐま社

ジェニィが語ったのですが、接続詞がとても多く、覚えにくかったです。無くてもストーリーが分かる接続詞は、語るときに省いてもいいそうです。接続詞の代わりに「間」をとればいいときもあります。

昔話はその場面に2人の登場人物しかいないことが多い、よって、耳で聞いて分かりやすい。しかし、このおはなしは ①兄さん②妹③トロル女 と3人の登場人物がいて、しかも、2人とも子どもです。テキストでは、「〇〇」と妹が言いました。と書かれていますが、妹が「〇〇」と言いました。と変えると誰が言っているかすぐに分かります。聞き手に分かりやすくするために、演じるのではなく、テキストを変更したほうがよいとアドバイスをもらいました。

⑤三枚のお札  『おはなしのろうそく5』/東京子ども図書館

こわくて面白いおはなしの代表格ですね。途中でストーリーが止まることのないよう、一気に語れるよう心がけたそうです。

1年生に語る予定で、説明したほうがよい言葉として             「つうら →顔」「かなひばし →そのものの説明ではなく、長さを理解してもらうことが重要であり、手で30㎝ぐらいをジェスチャーするとよい」そうです。

このおはなしも子どもに語って初めて完成するおはなしです。また報告をお待ちしています。

⑥まほう使いの弟子  『語りの森3 しんぺいとうざ』/語りの森

練習しているうちに、自分の言葉に変わってしまったのが反省点だそうです。

後半の息子とまほう使いとの変身ごっこ、馬(馬喰)→鯉(かます)→つばめ(のすり)→指輪(手回し琴ひき)→麻の実(めんどり)→きつね、と次から次へと変身するのが楽しいですね~アドバイスとして、早くなりすぎず、きっちりとイメージできるように語りましょう。

このおはなしは中学生用に再話されたそうです。ヤンさんが中学1年から3年に語られているそうですが、中学生になると仮にその言葉の意味が分からなくても、ストーリーでおおよその意味を理解するので、説明は不要だそうです。以前「馬喰」の意味を説明したら、嫌がられたエピソードを話してくれました。

≪ヤンさんの語り≫ いばら姫  『語るためのグリム童話3』/小峰書店

このおはなしは、姫が15歳にときにつむに刺され、100年の眠りにつきますが、つむの先がとがっていることを理解しなければなりません。つむの説明の仕方を絵(イラスト)ありバージョンと、絵なしバージョンでレクチャーしてくれました。ヤンさんが語る前に絵を見せるのは、このおはなしだけだそうです。

今回のクラスで、Uさんが「ホットケーキ」の報告をしてくれましたが、とても勉強になりました。子どもに語るときが本番であり、今後も皆さんの報告が聞きたいと強く思いました。

9月度 初級クラス

ババ様方が次々と勉強会を報告をされている中、遅れてすみません。7月度に洗濯機が潰れた我が家ですが、パソコンもダメになってしまい(><)、新に購入しました。そろそろヤバイかもと思っていたので、バックアップはしていましたが、、、壊れ年の1年です(泣)

さて、夏休みが終わり、初級クラスも2学期が始まりました~まずは手遊びから。

「子どもと子どもがけんかして♪ 薬屋さんが止めたけど♪ なかなかなかなか止まらない♪ 人たちゃ笑う♪ 親たちゃ怒る♪ プンプンプン♬」

①はらぺこピエトリン  『子どもに語るイタリアの昔話』/こぐま社

「間」が命のおはなしです。テキストが求める間と語り手が仕掛ける間がありますが、このおはなしは後者、聞き手が求める間が必要であり、子どもに語ってしか取れません。何度も語って、育つおはなしです。本番で最適な間をとるためには、テキストが寝ても言えるぐらい、しっかりと覚えたうえで、子どもたちの表情や気持ちを見極めなければいけません。

これは私が語ったのですが、以前から覚えたいと思っていたおはなしの一つで、ようやくチャレンジしました。覚えているときも楽しく、バッボルコの迫りくる恐怖、特にドアを開けた瞬間にバッボルコの大きな口があり、ピエトリンが飛び込んでしまう場面がお気に入りです。語り手がおはなしを楽しみ、イメージすることは重要ですが、子ども自身が自分のイメージで楽しむこと大切なのです。そのためには語り手は一歩引いて、冷静に語らなければいけませんが、私は興奮気味に早口で語ってしまいました。

②おおかみと七ひきの子やぎ  『語るためのグリム童話1』/小峰書店

以前、こぐま社のテキストで覚えて発表されたのですが、テキストを見直され、今回再発表されました。

おおかみが子やぎ達の家にやってくる3回の繰り返しは、言葉を変えて言っているので、声を変えて演じる必要はありません。また、子やぎ達が隠れる場面は、聞き手がしっかりイメージできるようにしましょう。おおかみが迫ってくる中、必死に場所を探して隠れるのですから、淡々と語らないようにとのアドバイスでした。

細かな点では、テキストでは「ところがおおかみは子やぎたちをみんな見つけだし、次つぎに飲みこんでしまいました」となっていますが、七匹目の子やぎは食べられていませんので、みんなという言葉を削除したほうがいいでしょう。

また、「お母さんやぎははさみでおなかを切りひらきました」の文で、はさみが抜けてしまったのですが、子やぎが家に取りに帰っており、抜けてはいけない単語ですので、気を付けましょう。

③ホットケーキ  『おはなしのろうそく18』/東京子ども図書館

間の取り方が分からないので、ゆっくり丁寧に語ることを意識されたそうです。このおはなしも間が重要であり、何度も子ども達の前で語ってみましょう。

④ブレーメンの音楽隊  『村上郁 再話』

日曜のがらがらどんで一度発表され、その時に年老いた動物達を元気よく語りすぎたと思い、今回は年寄りを意識されました。このおはなしは年老いた動物達がブレーメンで一旗揚げようと奮起しますね。年老いた動物達が主人公でも、このおはなしはお年寄り向けでなく、子どもが聞いて喜ぶおはなしですので、元気よく語ればいいでしょう。

⑤三枚のお札  『語りの森昔話集2 ねむりねっこ』/語りの森

練習不足が原因か、後半は接続語の後の「、」で間ができてしまっていました。終わりの1/3は特に盛り上がる場面で、次はどうなる?と子ども達は気になるので、特に気を付けましょう。

⑥クルミわりのケイト  『おはなしのろうそく10』/東京子ども図書館

久々のSさんの語りでした。このおはなしを選んだ理由が、長いおはなしにチャレンジしたかったのもあるし、登場人物の名前「アン」と「ケイト」が覚えやすかったからだそうです。おはなしを選ぶ理由は人それぞれですね~

最後の場面は「病気の王子」ではなく、「病気だった王子」でなければいけません。間違えてしまっても問題のない言葉もありますが、最後は王子の病気は治っていなければいけませんので、言い間違えないようにしましょう。

⑦トーレ・ッペの幽霊  『語りの森昔話集3』/語りの森

かさかさにひからびてミイラになった幽霊、トーレ・エッペを上手く演じながら、語られていました。高学年のおまけのおはなしとしていいそうです。

ヤンさんの語り  ものをいう卵  『語りの森HP』

ヤンさんもブログで報告されていますが、先日年長さんに語られたそうです。幼稚園の担任の先生が「集中して聞いていた」とコメントするぐらい、子ども達はおはなしの世界に入っていたそうです。

このおはなしは、HPの外国の昔話に掲載されています。母親は悪いローズばかりを可愛がり、ブランシにはつらい仕事をさせます。ブランシが井戸へ水汲みに行ったとき、一人のおばあさんに会い、おばあさんの言う通りにしたブランシは最後にダイヤモンドや馬車などを手に入れ、母親を喜ばせます。母親はローズにも行かせますが、おばあさんの言うことを聞かず、蛇やかえるなどを手に入れ、母親に家の中に入れてもらえなかった、というおはなしです。

親は兄弟、姉妹平等に接しようと心がけていると思いますが、子ども自身はどこかしら「お兄ちゃん、お姉ちゃん(弟、妹)ばかり可愛がっている」という思いがあるものでしょうか。子どもが親から認められたいと思っている年齢(小学校低学年ぐらいまで)にぴったりのおはなしと説明がありました。

「ノート式~」の勉強をする時間はありませんでした(残念)

次回初級クラスは10月8日(火)です。『ノート式~』の「おはなしの覚え方」(P23)を読んできてください。

6月度 初級クラス

ババの皆様はおはなし会シーズン真っ最中でしょうか?子ども達から思った通りの反応があったときは達成感があり、次のおはなし会も「さあ、やるぞー!」と楽しみになりますが、上手くいかなかったときは、次を語るときにいつもより緊張してしまします。でも、語りの力を信じ、子どもの心に響くおはなしを届けたいです。

先月のクラスで長いおはなしにも積極的にチャレンジしましょう、と話に出たのですが、早速語ってくれました~遅くなりましたが、報告です。

①金の子牛  『語りの森昔話集2 ねむりねっこ』/語りの森

初めて長い本格昔話にチャレンジされましたが、練習のときに集中力を保つのが難しかったそうです。長いおはなしは言葉をしっかり覚えれば、短いおはなしのように間を考えたりする必要もなく、ストーリーで十分楽しんでもらえます。長くなると最後まで通して語るのにも時間がかかりますが、練習回数は減らさず頑張りましょう。

ヤンさんの再話は耳で聞いて分かりやすいように、3回の繰り返しはできるだけ同じ言葉でそろえているそうです。それでも違う言葉を使っているときは、「何故変えているか?」文脈を読み込み、考えて欲しいそうです。そうすると、間違えることもなくなるでしょう。

語り方のアドバイスとしては、三つのひじかけいすでビロード+銀+金とありますが、「銀」と「金」を聞き間違えないよう、言葉を立ててはっきり語るようにしましょう。

先日の総会で、かぶさんがこのおはなしを小学5年生に語られ、特に女の子がとても集中して聞いてくれた、と言われていましたよ。ぜひ、子どもの前で語ってくださいね!

②カンチルとワニ  『語りの森昔話集3 しんぺいとうざ』/語りの森

小学5年生のおはなし会で「三本の金髪のある悪魔」のおまけに語る予定です。「三本の金髪~」は王さまが黄金を手に入れるために、川を渡し守に渡してもらう場面で終わるので、「カンチルとワニ」も川を渡るという意味で重なり、組合せが良くないかも?と思っていました。しかし、「三本の金髪~」が渡る川は「三途の川」であり、カンチルが渡る川とは意味が全く違い、また描かれる風景も違うので問題ないとのことでした。

プログラムの組み方・・・本当に難しいです。先日のヤンさんのブログ(6月4日参照)に1年生の初めてのおはなし会に「動物昔話&食べられるおはなし」で統一した理由を詳しく書いてくれていましたが、とても勉強になりました。

③クルミわりのケイト  『おはなしのろうそく10』/東京子ども図書館

初めて10分以上のおはなしを発表してくれました。最後まで覚えてから、自分の弱い場面を繰り返し練習されたそうで、覚えていくうちに、どんどんこのおはなしが好きになり、楽しくなったそうです。

このおはなしは、ある王さまにアンという娘があり、アンが14歳のときにお妃に先立たれ、ケイトという娘を連れた二度目のお妃を迎えます。継母はアンの美しさを妬み、鳥飼のばあさんに頼み、アンの頭を羊の頭に変えてもらいます。

継子と実子の仲が悪いおはなしは沢山ありますが、このおはなしは二人が本当の姉妹のように仲良くなり、二人で幸せを探す旅にでます。病気で死にかけの王子のいるお城に泊めてもらうのですが、勇気あるケイトの働きで、アンが救われ、病気の王子も元気になり、二人とも王子と結婚するという幸せな結末です。

病気の王子が小鳥を一口食べるにつれ元気になる3回の繰り返しは、徐々に元気になるイメージをもって、嬉しそうに語るといいでしょう。

④ひとり、ふたり、さんにんの子ども  『おはなしのろうそく26』/東京子ども図書館

昨年末に出産された3男くんを抱っこひもの中で抱いたまま、語ってくれました。我が子をイメージしながら練習したそうですが、お母さんの愛情が感じられる、素敵な語りでした。

不特定多数の子どもが参加する図書館などのおはなし会では、下の年齢に合わせたおはなしを語るほうがいいそうですが、我が子に語る場合は、聞きなれた母の声ですので、上の子どもの年齢に合わせてもいいそうです。

「一つ、二つ、三つ」「一本、二本、三本」「一軒、二軒、三軒」などの3回の繰り返しは、子ども達と一緒に言うつもりで、リズムも楽しみながら語ってみましょう。

⑤文福茶釜  『子どもに語る 日本の昔話2』/こぐま社

方言があるテキストで、お母さんたぬきの口調がおっさん(笑)のように感じてしまうことを気にされていましたが、雰囲気のある語りで楽しかったです。

⑥だんまりくらべ  『語りの森昔話集2 ねむりねっこ』/語りの森

小さい子どもに語るときに「七つ(ななつ)」が分かるのかな?と質問がありました。図書館のおはなし会では、ヤンさんは手遊び「パン屋に五つのメロンパン♪」をして、一つ~十までを子ども達と数えてみてから語ることもあるそうです。

「間」が命のおはなしですが、子どもとの「間の取り方」はパネルシアターで勉強することもできるそうです。

次回はいつも通り、7月9日(火)中央図書館 集会室です。

その前に語法の勉強会ですね~「馬方やまんば」は「聞き手の成長段階」を考えると高学年がいいとお聞きしました。お休みなしで超多忙&股関節まで痛められているヤンさんには申し訳ありませんが、しっかり勉強して、子ども達に語りたいです。

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