月別アーカイブ: 2015年3月

この春、飛び立つ子ども達へ

ぽんです。
お久しぶりです。
ちょっとプライベートでいろいろあって、
なかなかブログが書きにくい状況にあります。
さて、今年度も終わろうとしています。
残り2日、あちこちの保育園ではてんやわんやの大騒動になっていると思います。
なぜって?
だってね、保育園は卒園した子も、してない子も、31日まで来るわけですよ。
そしてね、4/1の朝には教室も靴箱もロッカーも、何もかも新年度用になってる。
徐々にはやられてるでしょうが、最大の山場は31日の子供が帰ったあと。
如何にスムーズにやれるか・・・。31日は何時に帰れるか・・・。
ホントに保育園の先生達には頭がさがります。
実は私、縁あって、2年前から、ある所で保育のお手伝いの仕事をしています。
私は4・5才児を担当してるのですが、
2年前に初めて担当した4才がこの春、卒園します。
この子達には本当に沢山のお話を語ってきました。
30話近いと思います。
同じお話を、何度も何度も語りました。
多いときは1週間に4話。
少ない時でも1話は語っていたように思います。
お話を通じて、この子達に本当に沢山のことを教えて貰いました。
子供は先生に容赦ありません。
聞きたくないときははっきりとそれを態度で示します。
聞くに値しないときも、です。
子供は、成長していく中で、どの子も、ある時ある瞬間に聞けるときがやってき
ます。
それを、目の当たりにしました。
それは、いつなのか、どのお話なのか、それはその子その子によって違うし
また、本当にその瞬間は偶然にやってる。
すべての条件がピタっと合う瞬間がやってくる。
子ども達は何を知りたいのか、
心の底の底で、何を欲しているのか、
それに答えれたとき、子供は無心になって耳を澄ませてくる、
そんな場面に何度も何度も出会いました。
そして、子ども達は自然に、お話を自分の生活の中に取り入れていきます。
「先生、あっこの木いっぱい生えてるとこにな、やまんばおんねん」
「夜になったらな出てくんねんで」
「先生、僕の鼻の上で、お弁当食べて」
「じゃあ、○○先生は僕のベロの上なあ」
(平均台渡りながら)
「髪の毛いっぽんばしー」
「怖いお話して」
「でも、怖ないねん。だってな、先生のお話、いっつも最後にはうまいこといく
ねん」
等々、数えきれません。
この子達のお陰でいろんな事を学ぶことが出来ました。
それを、これから、語りの中にどう生かしていけるか、
これから出会う聞き手の子ども達にどう返していけるか、
大きな宿題をもらった気がします。
この子達には感謝してもしきれません。
ありがとう、みんな。
明日、明後日、みんなのリクエストにお答えして、語ります。
あと2話。
心をこめて。

フランスの「手なし娘」 byヤン

4月10日の中級基本講義「手なし娘」の準備を進めています。
見つけた類話は、外国の話16話、日本の話133話。
外国の話は翻訳されているものからしか探せない、しろうとの哀しさです〜
きっと世界中にたくさんあるんでしょうね。
さて、フランスのロワール・アトランティック県で語られた「手なし娘」をご紹
介します。
この話では、娘の手を切りおとすのは、娘の兄です。
兄嫁が義理の妹に嫉妬して、魔女の入れ知恵であることないこと夫にいいつけ、
手を切らせます。
手を切られて森の中に捨てられた娘は、ある国の王に拾われて結婚します。
そして、男の子の双子を生みます。
ひとりは額に太陽をいただき、もうひとりは月をいただいた美しい子たちです。
戦いに出ている王に知らせるため、手紙が送られますが、魔女の策略で手紙が書
き換えられ、娘は双子を連れて城を追いだされます。
この魔女は、かつて兄嫁に、娘の手を切るようにと入れ知恵をした悪者です。
娘はさまよい歩き、池のほとりで水を飲もうとします。
すると、子どもたちが水にずり落ち、そのとたん手が生えて、娘は子どもをすく
いあげます。
近くの農家に身を寄せているところを、王が探し当て、親子四人で城へ帰り、幸
せに暮らします。
ところで、兄は、かつて妹の両手を切りおとして置き去りにしたとき、サンザシ
の棘が足に刺さり、その後、とげが成長して、兄の体を床に固定して、 枝は煙
突から外へ突き出してしまいます。
幸せになった娘が、兄の家にやってきてさわると棘は抜け落ちます。
そして、兄嫁に入れ知恵をした魔女は殺されます。
兄嫁がどうなったかは書かれていません。
ただ、同じフランスのブルターニュの伝承では、兄嫁は、幸せになった妹がやっ
てきたのを見て、階段に細工をして殺そうとしますが、誤って自分が階 段から
落ちて死にます。
この兄嫁は、魔女の入れ知恵ではなく、自分自身が夫に手を切らせています。
さて、このフランスの「手なし娘」、実行犯の兄にも、そそのかした魔女(また
は兄嫁)にも罰が下っていますね。
とくに、娘の手を切らせようとした者には容赦ない死が待っています。
グリム童話ではどうでしょう。
手を切った父親は、財産を手に入れ、何の罰も受けません。
娘を失ったことが罰なのでしょうか?
でも、そうだとは一切書かれていないので、聞き手の思いにゆだねられます。
いっぽう、そそのかした悪魔。
悪魔は神の対極なので、死ぬ(滅びる)ことはありません。
娘は神の力によって幸せになりますから、それで悪魔が負けたことになるので
しょうか?
どちらも主人公の幸せで終わっていますが、悪者が罰せられないというのは、昔
話として何となく居心地が悪い。
考え込んでおります(笑)
講義当日、1時間半では十分に話せないので、ここに書きました。
  ヤン

3月中級講座  byぽん

ぽんです。
遅ればせながら、先週の金曜(3/13)にあった中級講座のご報告。
当ババ・ヤガーでは、現在2つの勉強会を年間を通じて継続的に行っています。
その一つが頻繁に出てくる『日常語勉強会』。
昨日もやりました。
3月はジミーさんが報告してくれていますよね。
これは、毎月行っています。
それとは別に、奇数月に『中級講座』を行っています。
これは、子供の前で5年以上語っている人が対象で
毎回3話のお話を取り上げて、深く広く勉強していこうという講座です。
語っている人ばかりの集まりですから、
お話自体の事ばかりでなく、どのように語ればいいかなどの語り方についても、
学び合います。
毎回3話と書きましたが、担当を3人決め
その方達が1話ずつ、教材として、お話を持ち寄ります。
教材として持ち寄る為には、2ヶ月前にそのお話についてレポートの提出が必須
になっています。
さて、今回取り上げたお話。
「たなばた」 同名絵本 君島久子/再話 初山滋/画 福音館書店
「まめたろう」 おはなしのろうそく19 東京子ども図書館
「雌牛のブーコラ」 おはなしのろうそく24 東京子ども図書館
「たなばた」
類話があまりにも沢山あるのにびっくり。
担当した方も、参考資料として
「西王母と七夕伝承」 小南一郎 平凡社を読み込んでこられ、
七夕伝承の数の多さも報告して下さいました。
お話自体は、絵本からの出典なので、いろいろ問題山積。
でも、この絵本が何を原話としているのかがわからない上に
君島久子さん自身の創作的色合いが濃いではないかとなり、
うかつに手を入れる事もできないとの結論が。
七夕伝承を理解した上で、この出典をどうイメージして語るかが鍵になるなぁ、
といいうのがヤン先生のアドバイスでした。
「まめたろう」
小さい者が大きい者をやっつけて活躍するお話。
ということで、これも類話がいっぱい。
このタイプのお話、結末で主人公が大きくなるパターンと
小さいまま終わるパターンと二つありますよね。
何の違いでこうなるのか?
何となくですが、日本のお話には大きくなるのが多いような気がしますよね。
大きくならない日本のお話を捜すためには、どうするか。
その話型名がわかれば、より類話が捜しやすくなるとのご指摘。
日本のお話では、やはり、通観。
それも、『日本昔話通観(研究篇1) 日本昔話とモンゴロイド』が
大変役に立って興味深いということでした。
ちなみに外国のお話だと『グリム童話を読む事典』が良いのだとか。
もちろん、新品はもう売っていません。
Amazonで中古で23,923円でした。ああ、高い。
通観の研究篇1は中古も売っていません。ああ残念。
出典は所々カットするなど、手を入れる場所がある、とのことでした。
「雌牛のブーコラ」
この魔法的逃走のモチーフも多いですよね。
特に外国のお話に多いとのこと。
そういえば日本のお話でパッと浮かんでくるのは
「三枚のお札」ぐらいでしょうか?
担当された方が調べて下さった「世界の民話」シリーズだけでも7話。
特に、東欧に多いようです。
これも、少し言葉を抜いたりして、出典に手を入れる部分がある、とのことでした。
今回はこんな感じでした。
次回は5月。
年度が替わり、次回からは、メンバーも少し変わります。
では、おしまい。

3月 日常語勉強会   by ジミー

昨日、今年度最後の日常語勉強会がありました。
年度末のせいか参加者が少なくてちょっとさびしい会でしたが、1話についてい
ろいろなことを考えられて良かったです。
メニューは、語りがふたつ。
(出典は共に『日本の昔話』福音館書店)
「竜宮女房」
これは、ブログの3月16日、ヤンさんの屋根裏の寄り合い報告のコメントにあ
る、ごぶさんです。
先にコメントを書いてくださっていたので、より勉強になりました。
楽しい語りでした。
ヤンさんの解説で、子どもたちの反応のよさの裏づけと言うか、テキストとごぶ
さんの語り方がうまくマッチしての〜、本番での子どもたちの反応につ ながる
のだなと言うのがよくわかりました。
「きつねと熊」
語る前の段階の、テキストに手を入れる勉強のときにも気付かなかったこのおは
なしの面白さ、素敵さを、語ってもらって実感しました。
ええ話やな〜、と、みんなで言い合うほどでした。
ふくろうは、熊をだましているわけではないけれど、熊に知らせずにきつねに罰
を与えている。
熊は実際きつねを罰したけれども、その事実を熊は知らない。
すでに読んでいるはずなのに、読んでいるだけでは気付きもしなかった、ええ話
やな〜、が分かって、とても幸せな気持ちになりました。
やっぱり、昔話はいいな!
ジミーでした。

これにて終了

ぽんです。
今週は月曜日に1つ、火曜日に3つおはなし会に行ってきました。
これで、今年度のおはなし会すべてが終わりました。
月曜日
保育所 4才 ろうそくなし 35名 
今年度新しく行き始めた保育所です。1年通していくことが出来ました。
ろうそくのうた
語り 「おおかみと七ひきの子やぎ」 子どもに語るグリムの昔話① 
                               こぐま社
絵本 「モグモグでんしゃ」 井上洋介/絵と文 福音館書店
絵本 「ぐりとぐらのおおそうじ」
      なかがわりえこ と やまわきゆりこ 福音館書店
ろうそくのうた
で「ぐりとぐら」で質問が・・・。
子供 「どっちがぐら?どっちがぐり?」
私  「へっ?どっちやろ?」
そしたら、別の子が「青で書いたあるから青や。赤で書いたあるから赤や」
表紙見ました。
そしたら「ぐり」って青でかいてあるんです。
その下に青い服のねずみ。これがぐり。
「ぐら」って赤で書いてある下の、赤い服のねずみが「ぐら」
子供ってよく見てますね。感心しました。
ここは本当によく聞いてくれます。
今日は最後に「もういっこお話して」と言われました。
何かしようかと思いましたが、
先生達のお顔が「いや、次の予定があるねん」と言ってるような気がして
「ごめんね。今日はこれでおしまい。また4月に来るね」と言いました。
4月からは絵本を1冊にして、お話を2話してもいいかなと思っています。
来年度は3才さんも行くことになりました。
火曜日
保育所3才 ろうそくあり 15名ほど
ここは3才の10月から行き始めます。
今日で5回目。1月が保育所の都合でお休みでした。
人形 「くまさんのおでかけ」 おはなしのろうそく① 
語り 「おおかみと七ひきの子やぎ」
絵本 「いちご」 平山和子 福音館書店
絵本 「いたずらこねこ」 福音館書店
     バーナディン・クック/文 レミイ・チャーリップ/絵 まさきるりこ/訳
部屋に入ると子ども達が「きょう、くまさん一緒に来た?」
「くまさん、いてる?」と口々に言うので、小芝居を打ちました。
「一緒にきてくれたかなあ?」とかばんの中を捜すフリ。
「あれぇ〜、どこかなあ」「くまさん、一人で帰ったんかなあ〜」
子ども達の首がどんどん伸びていきます。
そして・・・。手にはめて出して・・・「みんなぁ、おはよう」
今日は子ども達のリクエストで、
水たまりではなく川を泳いで渡り
山ぶどうではなくみかんを食べました。
午後から次の保育所
ここは4才1クラスと5才1クラス
4才 30名ほど ろうそくなし。
ろうそくのうた
語り 「おおかみと七ひきの子やぎ」 子どもに語るグリムの昔話① 
                               こぐま社
絵本 「モグモグでんしゃ」 井上洋介/絵と文 福音館書店
絵本 「ぐりとぐらのおおそうじ」
      なかがわりえこ と やまわきゆりこ 福音館書店
ろうそくのうた
私は「おおかみ〜」を語りました。
5才 25名ほど ろうそくなし
ろうそくのうた
語り 「がちょうはくちょう」 おはなしのろうそく27
絵本 「なんのかげ?」 竹山枝里/文・構成 西山悦子/写真 福音館書店
絵本 「まゆとりゅう」 富安洋子/文 降矢なな/絵 福音館書店
ろうそくのうた
私は絵本2冊を読みました。
今年度終わりました。
上手くいったり失敗したり。
「そうそう、これこれ」と思ったり、「えーっ!?」と思ったり。
この1年間に私のお話を聞いてくれた子ども達に感謝です。
来年度もよろしくね。