『瀬田貞二 子どもの本論文集 児童文学論上』報告
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第3章書評など
《映画評2》
マルシャーク原作「森は生きている」1956年発表
この評論は、マルシャーク原作「森は生きている」の映画化したものに対してなされています。
映画は、1956年に、俳優座=近代映画協会企画によるコニカラー総天然色作品として発表された実写版です。(1980年に東映がアニメ版を出していますが、これではありません)
サムイル・マルシャーク(1887-1964)
ロシアの作家、翻訳家、詩人
「森は生きている」はスラヴ民話をもとにして書かれた児童劇。
日本語では『森は生きているー十二月ー』として、岩波少年文庫から出ています。湯浅芳子訳
児童劇場レパートリーの珠玉篇といわれています。
初演は1954年、俳優座。青山杉作演出、林光作曲。
現在も、いろいろな劇団で上演されています。
私は、映画では見ていませんが、劇場中継をTVで観ました。
歌のフレーズを覚えています。
原作は、すじが単純、構成がすっきりしていて、イメージが豊か、曲折は意表を突き、意向が健康。それをそのまま映画にしてあるのだから、どう転んでも「おもしろい」と、瀬田先生は言います。
つまり、子どもが、この映画を「おもしろい」というのは、原作のよさによるものなのです。
ただ、映画なのに、映画としての特徴を駆使せず、演劇の舞台をそのまま映画化してあるために、むしろイメージが広がらない。
舞台で見るほうがずっといいようです。
引用
これは演劇的な成功作の映画的な失敗作だ。
参考までに、1956年には、ソ連がアニメ版を出していて、DVDで観られるようです。主人公の娘は清水マリが吹き替えています。
1980年の東映アニメ版は主人公に名前(アーニャ)が付けてあって、大竹しのぶがやっています。DVDなし。
ところで、マルシャークがもとにした民話というのは、『12のつきのおくりもの』として福音館書店から出ているので、ご存じのかたは多いと思います。内田莉莎子訳、丸木俊絵です。
東京子ども図書館刊『おはなしのろうそく2』にも入っていて、語る人は多いです。
このお話、大好きです。やはり、絵本より、ストーリーテリングのほうが、イメージがひろがります。とくに、りんごやいちごの赤がとてもあざやかに、見えるのです。
聞くといつも、(覚えよう)と思うのに、季節が限定されるので、気がつくと春や夏になってて、機会を失うということに
ぶなの木さん、お越しくださってありがとうございます~
そうですね、私もストーリーテリングのほうが好きです。
内田莉莎子さんの訳は、聞き手に絵が見えるような文章ですもんね。
基本的に、聞けるものは、絵や動画じゃなくて、語る、読むが、ベストだと思ってます。
そうねえ、季節的にね。
12月にお話会があればいいんですね(笑)
でもね、1月や2月、雪の多いときならいいかも。