日別アーカイブ: 2020年4月17日

絵本と映画📗🎥

葵祭が中止になり、祇園祭も中止かもしれない。
祭りっていうのはもともと疫病退散の祈りなんだけど・・・

さて、ババはどうするか・・・・

はい、とりあえず今日のお勉強!

『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論上』報告

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第3章書評など
《絵本と映画》

これについてはヤン自身が色々考えがあるんだけど、まず先に瀬田先生の文章をまとめますね。

1、昔話は起承転結がはっきりしている。この特徴は幼年童話の大切な要素だ。
起承転結がはっきりしているものはよい絵本になり、よい映画にもなる。
例)「さんびきのこぶた」様々な画家による美しい絵本。ディズニーの傑作漫画映画。

2、映画と絵本では表現の仕方が違う。
映画のカメラ角度は自由自在で、時を前後させたり場所を変えたりして、変化をつける。これは、絵本にはない特徴。

3、映画から絵本が作られた例
@ディズニーの映画絵本 これはただのスチールの連続で、本格的な絵本ではない。アメリカの一流図書館は歓迎しない。
@フランス映画の「赤い風船」 映画のスチール写真絵本、これは成功例。

4、絵本が映画になった例
ウェストン・ウッズ撮影所による名作絵本の映画化。
『100まんびきのねこ』『がんばれヘラクレス』『せかい一おいしいスープ』『かもさんおとおり』『あひるのピンのぼうけん』『アンディトライオン』『黒ねこジェニーのたんじょうび』『ちいさなあかいとうだい』などなど。
評判がよくテレビ学校図書館で利用されている。

以上です。

ちょっと盾突いていいですかあ?

昨日書いたように、映画は映画、絵本は絵本、昔話は語り、ジャンルが違う。表現方法が違う。それを混ぜるには相当の覚悟と力がいるだろうし、なによりなぜ交雑しないといけないのか、わたしには理由がわからない。

1について。
起承転結がはっきりしていることが幼い子の文学にとって重要、なのは、わかる。
だからといって、昔話を利用していいのかな?
映画も絵本も作者のオリジナルで勝負すればいいし、ほとんどの傑作はそうですよね。
どんな昔話映画も、どんな昔話絵本も、ストーリーテリングには負ける。
テーマが子どもに入っていくときの深みが違う。

「さんびきのこぶた」はババ・ヤガーでもがらがらどんでも、勉強会で取り上げて比較したことがあったよね。
ジェイコブズの「さんびきのこぶた」は秀逸。わたしは石井桃子訳で語るけど。
改ざん絵本のなんと多いこと!資料観てて、怒り心頭だったよ。
瀬田先生は「美しい絵」とおっしゃるが、「さんびきのこぶた」は美しくなくていい~~~!
ディズニー映画の中身のなさ。昔話の持つリズム(三回の繰り返し・同じ場面は同じ言葉で語るetc。)、弱肉強食の現実の教え、弱者が強者をやっつけるスリルと達成感、励ましなどなど、原話の持つ力強い魅力がそぎ落とされていると、私は感じます。なぜあの映画が傑作といえるのかわからない。

2について。
この映画の特徴は、絵本にもないが、語りにもない。つまり、昔話にはない。

3について。
これは賛成。ディズニーの映画絵本は、図書館に置かないでください!

映画「赤い風船」1956年、アルベール・ラモリス監督。アカデミー賞脚本賞、カンヌ映画祭短編パルム・ドール賞。
ヤンは学生時代にリバイバルで観たことがあります。泣きました(笑)
瀬田先生の書かれている写真絵本は見つかりませんでした。だから、良し悪しは言えません。
のちに、いわさきちひろが描いています(1968年、岸田衿子文、偕成社)。でもそれは、ちひろの「あかいふうせん」であって、私が映画から得た「赤い風船」のメッセージではない。

4について。
探しましたが、見つかりませんでした。
たくさんの名作絵本が映画になってるんですね。
確かに、なかなか絵本が手に入らない、読み手が事情で読んでやれない、という家庭事情ならば、テレビで見るのは仕方がないかもしれない。でも、学校や図書館でなぜ需要があるんだろう。

あ~
一番ショックだったのは、ディズニーの「さんびきのこぶた」を傑作だと評価していることでした・・・