『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論 上』報告
************
第4章昔話
《昔話ノート》「昔話の文学性」1960年発表
子どもは昔話が好きだけれど、なぜなのかということが書かれています。
答え
昔話が、単純率直な形で文学の骨格をがっしりそなえているから。つまり、昔話は、文学の美しさ、力強さ、わかりよさの典型である。
文学っていうのは、「テーマ」「構成」「表現」で成り立っていて、昔話は、そのどれをとっても必要十分で、しかも子どもにふさわしいと、瀬田先生は言います。
「テーマ」
多種多様。
人生の折り目折り目における禍福生死様々の問題が、庶民の知恵で織り込まれている。
題材は身近。
奇抜な空想の世界。
「構成」
骨太な組み立て。
つまらない個所や無駄なところが削り取られている。
発端:時と場所と人物と条件が、これ以上考えられないほど簡潔に明らかにされている。「むかし、あるところに、じいさんとばあさんが・・・」
事件:連続してスピーディに進む。事件のつながりが、「それからそれから」と好奇心を生む。三つの繰り返しは、テンポでありリズムであり、幼い子どもを肉体的にもつかむ。
クライマックス:驚くべき意外な局面の高まりとなだれかかる事件が、一挙に起こる。期待は完全に満たされる。
結末:静かに、願わしかるべき結末。
単純明快な構成が、子どもの集中力を一束にまとめ、空想の世界へと軽々と運んでいく。
「表現」
細かな描写や心理は描かず、事実そのまま、行動と事柄だけでストーリーを進める。くだくだしい説明は一切しない。
私たちが学んでいるリュティ理論との違いはありませんね。別の言葉で書かれていることによって、新鮮でわかりやすく感じます。
そして、瀬田先生は、あらたな再話集の必要性を説きます。
引用
(口承資料の)昔話の中には、やはり子どもにむかないような、野卑なものなどがまだまだたくさん詰まっているのですから、その土くささや芯の強さやねばりや活気を消さないようにして、簡潔率直に、昔話の生地をあらいだして、野卑と冗漫と不完全さとを取捨補足して子どもにむく珠玉選を作りださなければなりません。・・・・いっぽう諸外国の昔話ももっとどしどし紹介されたいものです。・・・千種万様のお国ぶりがあざやかに咲ききそう昔話の花園は、やはりそのいちばんよいすがたで移植され、子どもをそこに心ゆくまで遊ばせてやりたい
はい、がんばります^0^