月別アーカイブ: 2020年4月

映画評「一つのメロディと四人の画家」🎵

『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論 上』報告

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第3章書評など
映画評3「一つのメロディと四人の画家」1957年発表

これも探しまくったけど、見つからなかった。
観ないで書くのも気が引けますが、できるだけ客観的に、評論の要点をまとめます。

映画の内容
四人の画家が、バッハの「ポロネーズ」から得た幻想を絵にする。その制作過程を紹介し、実際に音楽付きで絵を見せるという趣向。
画家は、ジャン・コクトー(フランス)
ジノ・セヴェリーニ(イタリア)
エルンスト・ウィルヘルム・ナイ(ドイツ)
ハンス・エルニ(スイス)

瀬田先生の批評
美術批評は専門でないことを断ったうえで、ポロネーズの絵画による視覚化はさっぱり面白くない、きっと、よそから与えられたテーマだから、画家としてもお粗末な仕事になってしまうんだろうと言います。
ただ、それぞれの画家の制作過程は、個性にあふれていて面白かったとのこと。

結論
引用
素人の見方としては、一つのメロディによる抽象よりも、四人の画家の人間くささのほうに気持ちがかたむくということだ。

戦後の映画の方法、さまざまな試行錯誤があったんだなあと思います。

次回は、絵本と映画についての評論。これはちょっときつい。
というのは、ヤンは、映画は映画、絵本は絵本、昔話は語り、ジャンルが違ものが交雑することに疑問があるのね。

話題が変わるけど、
いまYouTubeで、絵本の読み聞かせの動画がいっぱいアップされてるの、みなさんご存じですか?
絵本は、身近な大人(またはにいちゃんねえちゃん)に読んでもらうように作られてると思う。それを、安易に動画にして配信する意味があると思えない。
作品がよければ、当然観る人は多いだろうけど。
それに、著作権。ちゃんとOKもらってるのかな?

 

映画評「ジャックと豆の木」🎆

『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論上』の報告
なんだけどね、読んだことのない本は、図書館で借りて読んでから、報告してるんですが・・・
映画は観たことがないものはなかなか報告しづらいです。
やめとこかなと思ったんだけど、試みますね。
古い映画を、ネットで探すのも面白いし、わかる範囲で、書きます。

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第3章書評など
映画評3 1957年発表
「ジャックと豆の木」ほか

ありゃりゃ、以前ババの単発勉強会でやりましたね。「ジャックと豆の木」の再話比較。
あのとき、語りと絵本と、アニメも比較しましたね。

今更追加して比較できませんが、瀬田先生は、ロッテ・ライニガーの影絵映画「ジャックと豆の木」を取り上げています。モノクロアニメです。
ネットで探したんだけど、見つからなかった。
失敗作だと思う」って、瀬田先生は書いてるんだけど、何とも言えない。
理由は「子どもをひきつける驚きの要素と展開がない」ってこと。
それと、ストーリーを変えてあること。
ジャックは雲の上でお城にとらわれているお姫様を助けるんだって。
それはだめでしょ。

でもね、瀬田先生は、ディズニーの「ミッキーのジャックと豆の木」はOKなんですよ。
シチュエーションや対比や動きに心配りがあるって。
こちらはYouTubeで見つけた。観た!
ストーリーが全然違う!!!
瀬田先生、これでOKなんですか!?

と、ここで、瀬田先生のいう「ミッキーのジャックと豆の木」とYouTubeで上がっているのが同じかどうか疑問に思った。でも、確かめようがない。
ギヴアップ!

やっぱり報告にならなかった。
ごめんなさい。

参考:ロッテ・ライニガー(1899-1981)
ドイツの映画監督。影絵アニメーションの先駆者。
代表作は、現存する世界最古の長編アニメーション映画『アクメッド王子の冒険(英語版)』(1926年)

お詫びのしるしに、ロッテ・ライニガーの「シンデレラ」を張り付けておきます。
観てごらん、おもしろいよ~! ↓

グリムの「灰かぶり(シンデレラ)」とストーリーがほぼ同じなのは、ロッテがドイツの人だからかもしれませんね。

 

 

 

映画「少女と山猫」📽

『瀬田貞二 子どもの本論文集 児童文学論 上』報告

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第3章書評など
映画評3-三つの短編映画 1957年発表
「少女と山猫」

まずはお断りಥ_ಥ
「少女と山猫」、観たこともなくネットで動画も確認できず、うまく報告できないかもしれません。

「少女と山猫」1956年制作
ハンガリーのアーゴシュトン・コラーニが脚本を書き監督した記録映画。

瀬田先生によると「ハンガリーのおくるすばらしい記録映画だ」そうです。
同じころのドキュメンタリー映画と比較して、
ディズニーの「砂漠は生きている」は、あくどい擬人化的な手法にげんなりするといい、
「緑の魔境」は、例えばピラニアが牛をむさぼり食う場面など、非情な客観性を持つといいます。

どれも観てないです・・・
「砂漠は生きている」というのは、「水鳥の生態」「大自然の片隅」「ビーバーの谷」などの自然の驚異シリーズを長編にきりかえ、自然の冒険シリーズと名づけて発表した第1作だそうです。1953年アカデミー長編記録映画賞受賞。
そういえば、昔、テレビでディズニーの番組があって、ミッキーとかのアニメだけでなくて、自然ドキュメントもあったことをうっすら覚えています。それと関係があるかどうかは不明。
「緑の魔境」は、ジャン・ガスパレ・ナポリターノが製作、南アメリカの東海岸のリオ・デ・ジャネイロから西海岸のリマにいたる12500キロメートルを、特製ジープ2台で6カ月にわたって踏破した記録映画ということです。1953年カンヌ記録映画賞受賞。

こういう、人びとに絶賛された作品を批判して、こちらが良いよという「少女と山猫」観てみたい。

あらすじ(引用)
森林技師の娘カティは、子猫とまちがえて山猫の子を拾って育てる。春、夏、秋、時はゆっくりまわって、冬へ急ぐころ、山猫の子は本能にまざめてカティの手をきずつけてしまった。カティはそっと森へ逃がしてやる。山猫は野性にかえって森のなかでひとり立ちの座をしめていく。

この映画の良さは、
*美しい森の四季と森の様々な生き物の活動
*水の流れるような美しい音楽
*丁寧に叙事詩的に描写される日常

この映画での自然は、擬人化されることもなく、かといって単なる客観描写でもない。
人間と動物が、自然の懐の奥で、境界はありつつ暖かく触れ合っている。それは、東洋的ではないかと瀬田先生は言います。
敵対とか征服とかでない対自然の古い記録」だと。

「少女と山猫」と直接には関係ありませんが、今日は、レイチェル・カーソンの命日だそうです。

自然と人間について考えてみませんか。

大人向けには『沈黙の春』。
子ども向けには『センス・オブ・ワンダー』。

ヒマにまかせて😁

語りの森ホームページの更新は、毎月曜日ですよ~

今日は、《日本の昔話》をリニューアルしました。
といっても2週間ぐらいかかったかなあ。きのう完成。
なんと、全部で80話あった!

我ながら、ヒマやなあと思う(笑)

古い資料を読みあさり、著作権者を探索し、探し当てたら許可をもらい、それから再話。何度も口に乗せて検討し、時には子どもに聞いてもらう。
書いたもんはええけど、音声録音は、苦労のわりに恥ずかしい。

でもね、過去の見ず知らずのお人の語った話が、私の心に留まるってことは、奇跡だよ。
なんで私の所に来てくれたのかな?
それはもう、その人の心が後世まで生き残るためでしょ、と思うの。
だから、語る、WEBで伝える。
私は、媒体(笑)

みなさま、語ってくださいね。

なんでリニューアルしたかっていうとね。スマホ対応にしたの。
自分がスマホ持ってみて、自作ホームページがとっても見にくいことが分かった。
どないしたら、ええかと考えに考えた末、引っ越さなしゃあないな、と。
はい、1話ずつ引っ越しましたよ~

今後、少しずつほかのページも引っ越していきます。
コロナが収束してお話会が始まるころまでには、引っ越し完了するかな。

でも、今の手作り自作サイトも愛着があってねえ。
トップページは残しておこうかとか、考え中。

マルシャーク原作「森は生きている」❄🌲❄

『瀬田貞二 子どもの本論文集 児童文学論上』報告

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第3章書評など
《映画評2》
マルシャーク原作「森は生きている」1956年発表

この評論は、マルシャーク原作「森は生きている」の映画化したものに対してなされています。
映画は、1956年に、俳優座=近代映画協会企画によるコニカラー総天然色作品として発表された実写版です。(1980年に東映がアニメ版を出していますが、これではありません)

サムイル・マルシャーク(1887-1964)
ロシアの作家、翻訳家、詩人

「森は生きている」はスラヴ民話をもとにして書かれた児童劇。
日本語では『森は生きているー十二月ー』として、岩波少年文庫から出ています。湯浅芳子訳

児童劇場レパートリーの珠玉篇といわれています。
初演は1954年、俳優座。青山杉作演出、林光作曲。
現在も、いろいろな劇団で上演されています。

私は、映画では見ていませんが、劇場中継をTVで観ました。
歌のフレーズを覚えています。

原作は、すじが単純、構成がすっきりしていて、イメージが豊か、曲折は意表を突き、意向が健康。それをそのまま映画にしてあるのだから、どう転んでも「おもしろい」と、瀬田先生は言います。
つまり、子どもが、この映画を「おもしろい」というのは、原作のよさによるものなのです。

ただ、映画なのに、映画としての特徴を駆使せず、演劇の舞台をそのまま映画化してあるために、むしろイメージが広がらない。
舞台で見るほうがずっといいようです。

引用
これは演劇的な成功作の映画的な失敗作だ。

参考までに、1956年には、ソ連がアニメ版を出していて、DVDで観られるようです。主人公の娘は清水マリが吹き替えています。
1980年の東映アニメ版は主人公に名前(アーニャ)が付けてあって、大竹しのぶがやっています。DVDなし。

ところで、マルシャークがもとにした民話というのは、『12のつきのおくりもの』として福音館書店から出ているので、ご存じのかたは多いと思います。内田莉莎子訳、丸木俊絵です。
東京子ども図書館刊『おはなしのろうそく2』にも入っていて、語る人は多いです。