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アーサー・ランサムの物語の特質

『瀬田貞二子どもの本論文集児童文学論上』報告 つづき

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第3章書評など
「アーサー・ランサムの物語の特質」1967年発表

アーサー・ランサム(1884-1967)
イギリスの作家、ジャーナリスト

もともとは児童文学とは関係のない高踏的な文学者で、グールモンやゴーチェを訳したり、ポーやワイルドに関する分析をしたり、凝った文章の小説を書いていました。
ところが、そのうち、ヨット航海にのめりこみ、中年を過ぎて、ヨット仲間の子どもたちにお話を語り始めた。それが、『ツバメ号とアマゾン号』です。
そして、つぎつぎに12冊、子どものための小説を書き上げたということです。

瀬田先生の言葉を借りれば、
文学と人生のゆたかな人が、あるとき気軽に(自分自身が楽しんで)、ゆうゆうと(力量を落とさず苦渋せずに)、年若い人々のためにお得意のお話をしてきかせた
ということです。

1936年 第1回カーネギー賞を『ツバメ号の伝書バト』で受けています。

この「ツバメ号とアマゾン号」シリーズについて、瀬田先生は、ご自分の文庫などの子どもたちの言葉を拾いながら評しています。

「ぼくたちそっくりだからすきだ」
ランサムという成熟した作家が、子どもの心になりきって、子どもの感じ方で作品全体を統一していることに、瀬田先生は驚いています。
大人でいて、子どもの視点が自由にとれる作家は、児童文学でもっとも有利な資質の持ち主である

「それは四人の島だった」に傍線
この個所は、事件が起こる予兆の部分。読者である子どもが自分のこととして冒険を経験しているのだといます。
普通の子どもたちが、休暇中に出会う冒険を語っているという意味で、日常生活に冒険を持ち込んだ作家といわれています。「休暇物語の創始者」です。

「地図のない本は、読む気がしない」
実際に地図があるかないかではなく、物語の背景となる土地が、完全にリアリティをもって書かれていることが重要だと言います。
逆に言えば、水も漏らさぬ構成になっていなければ、地図は描けないのです。
ランサムは、自分の掌のように知り尽くした湖水地方や北海を背景に選び、そこに得意とする船を浮かべ、熟知した帆走の知識で物語を展開しています。

「この本には、あらゆることがちゃんと書いてあるわ」
ランサムは、省略しないで、全てを、楽しみながら、抑制のきいた筆で描いていきます。
ランサムの言葉の引用
子どものためではなく、自分の楽しみのために私は書きます。もし幸せにも子どもたちが、その楽しみを楽しみとしてくれれば、それがとりもなおさず、子どもの本の作家となるのです。

最後に、瀬田先生は、ランサム自身の描いた挿絵を、稀有なストーリーテラーの語り口とみごとに調和していると絶賛します。

 

マスク騒動Ⅱ😷

ラインで家族に写真を送った。
自慢まんまんで。
あだになった!
娘家族と息子、8枚作ることに相成った。

ほしい!って、自分で作らんかい!

あ、いや、ここは年寄りの出番だ。

娘一家は東京都心住まいなので、というか、日本一感染者が多い区なので、怖がって、子どもの保育園も休ませて、一か月以上籠城している。
幼児の相手をしながら在宅勤務。
息子も、慣れないテレワーク。
息子「本社の隣の小屋で、ひとりテレワークやねん」
それって、在宅っていうの?ほかに深いわけがあるのとちがうの???

ともかく2日間で大急ぎで作って、送った。
いくぶん縫い目が荒いことには、きっとお気づきにならないでしょう(笑)

送った写真